2023年12月5日

水琴窟をご存知でしょうか。水琴窟はかつて日本庭園に仕掛けてあった音具で、手水鉢の排水を地中に埋められた瓶に落水させ、瓶に溜まった水面に落ちる水滴の音が瓶のなかで反響する仕組みです。この音色が琴に似ていることから水琴窟と呼ばれ、茶席等で楽しまれたようです。音源の姿が地表からは見えない、音だけが聞こえてくるところが奥ゆかしく、実に日本らしい仕掛けと感じますが、残念なことに現在ではほとんど作られることはないようです。

当社が設計監理を担当した沢井町の長屋では、この水琴窟を踊り場の庭に設置いたしました。通りを歩いているとかすかにカランカランと水琴窟の心地よい音色が聞こえてきます。現在では非常に珍しい仕掛けですが、水琴窟のある庭は道路からもご覧いただけますので、近くへお越しの際は水琴窟の音色を是非聞いてみてください。

Y.S.